2026年8月28日、COMPASS小倉で「2026年度 第1回介護みらい会議」が開催されました。今回のゲストは、「ばあちゃん喫茶」などを手がける、うきはの宝株式会社 代表取締役の大熊充さん。介護の現場にある価値をどう見つけ、外へ届けていくのか。講演とワークショップの様子を取材しました。

司会の秋本可愛さんと、ゲストの大熊充さん
開催概要
- 開催日:2026年8月28日(金曜日)
- 会場:COMPASS小倉
- 主催:北九州市保健福祉局地域共生社会推進部 介護イノベーション推進室
- 企画・運営:株式会社Blanket
- ゲスト:大熊 充さん(うきはの宝株式会社 代表取締役)
- 司会:秋本 可愛さん(株式会社Blanket 代表取締役)
介護みらい会議とは?
介護みらい会議は、北九州市が主催する、介護・福祉の仕事に関わる人や関心のある人が集まり、これからのケアのあり方や働く希望を語り、事業所の枠を超えてつながり合う場です。介護事業所のスタッフや経営者だけでなく、地域の方々や学生、新しい挑戦を続ける多様なメンバーが集結し、「これからの介護のあり方」を固定観念にとらわれずに一緒に考えています。
「知られていない、伝わっていない = 世の中に存在しないことと一緒」
講演の中で大熊さんが掲げた、佐藤可士和さんのこの言葉は、今回の取材でいちばん印象に残りました。どんなに素晴らしい取り組みや価値があっても、それが知られなければ、介護・福祉の活動に参加したい人や、その活動を応援したい人にも届きません。介護の現場にすでにある工夫を、誰にどう届けるのか。私たちにもそのまま返ってくるテーマだと感じました。

大熊さんの講演を聞きながら、メモを取る参加者
実践例:メニューは1つだけの店の誕生『ばあちゃん喫茶』
大熊さんの具体的な取り組みとして紹介されたのが、いま全国展開が進められている『ばあちゃん喫茶』です。

『ばあちゃん喫茶』の歩みを紹介する講演スライド
「母の日常の営み」を社会の役割に
出発点となったのは、「母が毎日とんかつを揚げている」というある男性の日常のワンシーンだったといいます。その営みを個人の家で閉じるのではなく、社会に開かれた「役割」としてデザインし直すことで、メニューがとんかつ一つの喫茶店が生まれました。
紹介されたテレビ放送のスライドでは、スタッフが働くばあちゃんに寄り添い、温かくサポートする様子が映し出されていました。ケアを受けるだけでなく、お店の中で役割を担って働く姿が印象的でした。

介護福祉士のスタッフとばあちゃんの仕事の様子
大熊さんに学ぶ「デザイン思考」の捉え方
講演の中で大熊さんは、「デザイン思考」について語りました。

「デザイン思考」について説明した講演スライド
デザイン = 誰かの課題を解決することを目的としたモノの設計
大熊さんは、このデザイン思考を「課題解決を面白く、企画やコンテンツに変えていくこと」と捉えています。介護の現場にある独自の工夫や関係性を、どのような形で外へ発信していくかというヒントが示されました。
会場を彩った「ばあちゃんビジネス」のプロダクトたち
会場には、大熊さんの取り組みを体感できるさまざまなプロダクトや資料がずらりと並び、参加者の注目を集めていました。
その一つが、牛乳紙パックを活用したアップサイクル商品「MILK BAG」です。牛乳パックアーティスト・ミルクぱく子さんの監修のもと、うきはの宝の75歳以上の「ばあちゃん」たちが手作業で一つひとつ制作したもので、資源の価値再発見と高齢者の仕事・生きがい創出を両立させるサステナブルな取り組みとして紹介されました。
さらに、日々の活動や笑顔あふれる日常を発信する「ばあちゃん新聞」のバックナンバーや、大熊さんの著書である『年間1億円(目標)ばあちゃんビジネス』も展示されました。現場のリアルな工夫や、人生を豊かにするヒントが詰まった書籍や新聞を手に取る参加者の姿も見られ、大きな刺激となっていました。

MILK BAGやばあちゃん新聞、書籍が並んだ会場の展示スペース
「ばあちゃん」を起点にした多様な掛け合わせアイデア
講演では、「ばあちゃん」を起点に、さまざまな領域を結びつけるアイデアが紹介されました。
ビジネスとの掛け合わせ
ビジネスとの掛け合わせとして、健康寿命、ファッション、英会話などが紹介されました。
社会課題との掛け合わせ

社会課題との掛け合わせについての講演スライド
社会課題との掛け合わせでは、社会保障費削減、デジタル難民、認知症などが挙げられました。特に認知症については、認知症のある人を「支援される人」として一面的に見るのではなく、その人がこれまで続けてきたことや得意なことに目を向ける視点が語られました。適切なサポートや環境があれば、地域や仕事の中で役割を持てるという実例が共有されました。
ワークショップ:仕事の価値を言葉にする
後半は、参加者全員で「自分たちの仕事の価値を言葉にして発信するためのワーク」に挑戦しました。
参加者は、自分たちの事業や日々の関わり方を一つの「キャラクター」や「価値」として捉え直し、「誰に、どんな価値を届けているのか」をグループで言語化していきました。「自分たちにとって当たり前だった日常の工夫が、外から見ると独自の魅力になる」といった気づきが、各テーブルで共有されていました。
武内市長も会場へ駆けつけました
イベントには、北九州市の武内市長も会場へ駆けつけました。北九州から介護・福祉の魅力を発信していく参加者へ、応援の言葉が送られました。大熊充さん、秋本可愛さんに対してもこれからの挑戦への激励が送られ、会場は温かい拍手に包まれました。

会場に向けて挨拶を行う武内市長
お知らせ・今後の取り組み
【主催】
北九州市保健福祉局地域共生社会推進部 介護イノベーション推進室
TEL:093-582-2712 FAX:093-582-2095
【現地取材・記事作成】
北九なび 宮田えみ





















