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四季をまとう、日本の色。 ― 色の名前が、季節を連れてくる ―

色の専門家・八尋恭子氏による連載コラム「色の専門家がひらく『感性と印象の扉』」のアイキャッチ画像。K's Color Academyのロゴとともに、鮮やかな色のドレープ(布)や色相環のテキストが並び、色彩豊かな世界観を表現しています。

INTRODUCTION

日常を彩る「色の魔法」を解き明かす連載コラム。第4回目は、四季とともに歩んできた「日本の色」の秘密に迫ります。

彩りスイッチ!~日常を輝かせる色のチカラ~

Vol.4|「四季をまとう、日本の色。」
— 色の名前が、季節を連れてくる —

こんにちは。色の専門家の八尋恭子です。今日も“色”のお話を少し。

夏祭りの夜、浴衣姿の人とすれ違うと、なんだかふっと懐かしい気持ちになりませんか。

私の場合はついつい、その色や柄を目で追ってしまいます。職業病ですね(笑)

藍色の浴衣。
藤色の帯。
白地に桜色の絵柄。

日本の色って、見ているだけで涼しくなったり、懐かしくなったり、不思議と心が動くんですよね。

01

SCENERY

色の名前だけで、景色が見える

みなさんは、「日本の伝統色」と聞いて何を思い浮かべますか?

夏なら、やっぱり藍色でしょうか。藍色の浴衣を見ると、「あぁ、夏だなぁ」と感じます。

不思議だと思いませんか。

色を見ただけで、季節を感じる。音もなく、風もないのに、なんとなく涼しい気持ちになる。

実は日本には、数百もの伝統色があります。色の名前を聞くだけで、その季節の風景や情景が浮かんでくる。

英語では「blue」のひと言で済んでしまうような色も、日本語では「藍色」「瑠璃色」「縹色(はなだいろ)」と、細やかに名前が分かれていたりします。

それだけ日本人が、色の微妙な違いに心を動かされてきた、ということかもしれません。それもまた、日本の色ならではの魅力です。

02

SEASONS

四季が、色を育てた

日本の伝統色は、四季とともに生まれてきました。

〔春〕には桜色や萌黄色が芽吹いて、
〔夏〕には藤色や藍色が涼を運び、
〔秋〕には山が紅葉色に染まって、
〔冬〕には白銀色の静けさがやってくる。

季節が変わるたびに、色も変わる。

日本人は四季の移ろいを、色の名前として残してきました。平安時代の人たちは、花の色だけでなく、咲き始めから散り際までの微妙な色の違いにも名前をつけていたそうです。

なんてロマンチックなんだろうと思いませんか。

また、自然だけじゃなく、暮らしの中から生まれた色もあります。

江戸の粋を感じさせる「江戸紫」。

明治の文明開化とともに生まれた「新橋色」。

甕に少しだけ浸けたような淡い藍の「瓶覗(かめのぞき)」。

茶の湯の世界を思わせる渋みのある灰色「利休鼠(りきゅうねず)」。

名前を眺めているだけで、なんだかその時代の路地裏や、茶室の空気までつんと漂ってくるような気がしてきます。

03

CULTURE

日本人は、色をまとってきた

日本人は昔から、色を暮らしの中に取り入れてきました。

着物、浴衣、十二単。

陶器、工芸品、和菓子。

そこには藍色や藤色、若草色、山吹色など、季節を映した色が使われていました。

自然を「見る」だけじゃなく、「まとう」文化があったんですね。

戦国武将たちも同じです。鎧の色は、ただ目立つためのものではありませんでした。

勝利を願う「勝色(かちいろ)」。

力強さを象徴する「緋色(ひいろ)」。

艶やかな黒を表す「濡羽色(ぬればいろ)」。

それぞれの願いや覚悟が込められていました。色は昔から、人の想いを語るものだったのです。

04

LOCAL

実は、地元にすごい話があった⁉

ここで少し、筑豊にゆかりのある話をさせてください。

北九州市のすぐそば、筑豊に「筑前茜染め」という伝統の染めものがあります。

茜草で染めた、深みのある美しい赤。この赤が、日本で初めて国旗・日の丸を染めたと言われているのをご存じでしょうか。

私は筑豊生まれ、筑豊育ち。

この話を知ったとき、正直びっくりしました。

「えっ、日本の国旗の日の丸の赤を初めて染めたのが、筑豊だったの!?」

色の歴史って、どこか遠い話のように感じていたけれど、実は自分の育った地域にもちゃんと息づいていた。

それが、なんだかとても誇らしくて。

今では県外のカラーリストさんに会うたびに、「日本で初めて日の丸の赤を染めたと言われているのが、私の地元・筑豊なんですよ」と、ちゃっかり自慢しています(笑)。

05

MEMORY

色には、季節が宿っている

桜色。

藤色。

藍色。

日本の伝統色が美しいのは、きれいだから、だけじゃないと思っています。

それぞれの色の中に、季節があって、暮らしがあって、誰かの記憶がある。だから見るたびに、何かを思い出させてくれる。

色はただの名前ではなく、季節を連れてくる小さな記憶なのかもしれません。

この夏、浴衣姿の人を見かけたときや街の景色の中で、ぜひ日本の色を探してみてください。

いつもと同じ景色が、少しだけ違って見えるかもしれません。

そして、あなたが気になった日本の色、ぜひ教えてくださいね。

NEXT COLUMN

次回は、夏の番外編!

ところで、みなさんは浴衣の色をどうやって選んでいますか?
なんとなく好きな色?去年と同じ色?
次回は夏の番外編!浴衣の色味や柄をパーソナルカラー別にご紹介します。
「あ、これ私かも」そんなふうに思いながら読んでもらえたら嬉しいです。この夏をもっと素敵に彩るヒント、どうぞお楽しみに!


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このコラムを書いた人

COLUMNIST PROFILE

著者の活動風景

八尋 恭子 (Kyoko Yahiro)

色の専門家/OUTFRONT8 代表・K’s Color Academy 主宰。

パーソナルカラーをはじめ、色彩・感性・日本文化をテーマに講座やイベント、ワークショップを行う。企業イベントや地域活動を通して、色で人の印象や表情が変わる面白さを伝えている。

近年は、月をテーマに、感性や人とのつながりをひらく「月灯りプロジェクト」を始動。また、戦国武将の色彩美学を探る「SengokuColors」など、色と文化をつなぐ企画も進行中。海外で日本の色彩文化を伝える活動にも取り組んでいる。

筑豊を拠点に、福岡・北九州を中心に活動中。

🌙 活動、お問い合わせはこちらから
Instagram: @kscolor_academy

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