法人向け・経営者のリスクマネジメント 第2回
会社に現金はいくら残しておけば安心?
― 運転資金と「もしもの資金」を考える
会社を経営していると、「預金はいくらあれば安心なのか」と考えることがあります。毎月の支払いに困らない程度でよいのか、それともできるだけ多く現金を残しておくべきなのか。明確な正解があるわけではありませんが、会社を守るためには、必要な資金を目的ごとに分けて考えることが大切です。
まず確認したいのが、日常の事業を続けるための運転資金です。仕入れ代金、人件費、家賃、外注費、リース料、借入金の返済など、売上が入ってこなくても発生する支出があります。売上の入金よりも先に支払いが発生する会社では、黒字であっても一時的に資金が不足することがあります。
一般的には、毎月の固定費を基準に、数か月分の資金を確保しておくことが一つの目安になります。ただし、必要な金額は業種によって異なります。売上の変動が大きい会社、特定の取引先への依存度が高い会社、在庫を多く抱える会社などは、より多くの資金が必要になる場合があります。
次に考えたいのが、「もしもの資金」です。社長が病気や事故で長期間働けなくなった場合や、万が一のことがあった場合、通常の運転資金とは別にお金が必要になる可能性があります。売上が減少しても、従業員の給与や事務所の賃料などはすぐに削減できません。後任者が決まるまでの期間や、取引先との関係を維持するための費用も必要です。
さらに、借入金の返済、社長の死亡退職金、事業承継に伴う費用なども考慮しなければなりません。これらを合計すると、会社の預金だけでは十分に対応できないケースもあります。
重要なのは、預金残高の多さだけで安心しないことです。たとえば、預金が多く見えても、数か月後に大きな納税や賞与、設備投資の支払いが予定されていれば、自由に使える資金は限られます。反対に、必要な支出と将来のリスクを整理できていれば、現在の預金残高が適切かどうかを判断しやすくなります。
資金を準備する方法は、預金だけとは限りません。金融機関からの借入枠を確保しておく方法や、生命保険を活用して、万が一の際に会社へ資金を確保する方法もあります。生命保険で受け取る資金は、事業の継続、借入金の返済、従業員の給与、死亡退職金など、会社の状況に応じて活用できます。
まずは、毎月の固定費と、社長に万が一のことがあった場合に必要となる費用を書き出してみましょう。そして、現在の預金で何か月分をまかなえるのかを確認します。会社に必要な現金は、単に多ければよいのではなく、「何のために、いつまでに必要なのか」を考えて準備することが大切です。
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このコラムを書いた人
COLUMNIST PROFILE

板倉 陽子 (Yoko Itakura)
ファイナンシャルプランナー
住宅ローンアドバイザー
音大卒業後、ピアノ講師等を経て生命保険会社へ。自身のライフプラン見直し経験をもとに、18年間で1,000名以上の家計や老後資金のサポートを行う。「豊かな老後生活」をテーマに、勉強会やマネーセミナーを開催中。
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