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【コラム】本と暮らしのあいだで vol.03|心に残る物語『西の魔女が死んだ』の教え|静かな読後感とは

本を読み終えたあと、すぐに感想が言葉にならない本があります。物語は静かに終わったのに、心のどこかに、ぽつんと何かが残り続ける。『西の魔女が死んだ』は、そんな本でした。

「がんばらないこと」を教えてくれた本


この物語の主人公・まいは、学校に行けなくなった女の子です。理由ははっきりしません。ただ、心が追いつかなくなってしまった。それだけで、十分だったのだと思います。

そんなまいが過ごすことになるのが、“西の魔女”と呼ばれるおばあちゃんの家。自然に囲まれたその場所で、まいは「魔女の修行」を始めます。でもそれは、特別な力を身につけることではありません。

魔女の修行は、とても地味だった

早起きをすること。身の回りを整えること。自分で決めること。そして、その選択に責任を持つこと。西の魔女が教えてくれるのは、拍子抜けするほど普通のことばかりです。

でも読みながら思いました。これって、生きることそのものだな、と。誰かに正解をもらうのではなく、自分で選び、自分で引き受ける。その積み重ねが、まいを少しずつ立ち上がらせていきます。

「弱いままでもいい」と言われた気がした

この本が優しいのは、まいを無理に変えようとしないところです。元気を出せとも、前を向けとも言わない。ただ、静かに見守る。それが、どれほど人を救うのかを、この物語は教えてくれます。

読んでいるうちに、「弱いままでも、生きていていい」と言われているような気がしました。何かができなくなった自分を、急いで立て直さなくてもいい。そんな許可をもらった気がしたのです。

本を閉じたあとに残ったもの

物語の最後、西の魔女は死んでしまいます。でも、不思議と悲しさよりも、静かな温かさが残りました。教えは終わっても、まいの中にはちゃんと根づいている。そのことが、読み手にも伝わってくるからだと思います。

何かを成し遂げなくてもいい日。立ち止まってもいい時間。『西の魔女が死んだ』は、そんな場所へ、そっと連れて行ってくれる本でした。


📚 今回紹介した本
西の魔女が死んだ(梨木香歩)

※ Amazonのページにジャンプします


✍️ コラムニスト紹介


かれん|ヴァーチャルブックカフェ店主
Virtual Book Cafe TERRACE(ヴァーチャル ブックカフェ テラス)

実店舗を持たないオンライン上の小さなブックカフェをひらいています。本を読みながら考えたこと、本を閉じたあとに残った気持ちを、そっと言葉にして置いていく場所です。答えや正解を渡すのではなく、「こんな考え方もあるよ」と、テラス席にコーヒーを置くような気持ちで書いています。

TERRACEは、本を片手に少し外の空気を吸うための場所。「こうしなきゃ」から一度降りて、自分のペースを取り戻すための心のテラス席です。完成していなくても、うまく言葉になっていなくても大丈夫。途中の気持ちのまま座っていい場所でありたいと思っています。気になる方は、またふらっと覗きに来てください。

場所:インターネットのどこか / 発信源:福岡県北九州市某所 / 営業時間:気が向いたときにオープン / 定休日:決めていません

📖 バックナンバー

vol.02:まだ見ぬ彼方へ放て
vol.01:覚悟の磨き方

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